NAFL24巻 よくある質問
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p.108 | 24巻「世界と日本」の108ページ、診断テスト25問の正答は、「B. 認定審査が厳しく、なかなか認定されないため」とされています。 しかし、このような表現は、「解答と解説」に参照すべきと指示されている「第4章第3節」には、明記されていません。 「審査基準が厳しい」という評価は、難民申請者側の立場からすればそのとおりでしょうが、日本の外務省?など役所の側にも言い分があるかもしれません。しかし、この点はとくにテキストに記載されていません。解答が「認定基準が厳しく」としていることが、客観的にみてそうなのか、テキストを読むかぎりではどこにも書かれていないように見えます。 もし、諸外国が「審査基準を適正に」あつかっているから多くの難民を受けているという客観的データが例示され、日本の受け入れ人数との差は、日本の「基準の厳しさ」によるものであれば、その点を明記し、「日本の審査が厳しい」ことについて、より具体的、客観的にご教示いただけないでしょうか。 |
「難民条約」は、すべての亡命希望者を受け入れて庇護するよう締結国に義務づけるものではなく、 一定の要件、 ・人種・宗教・国籍・特定の社会的集団の構成員であること。 ・政治的意見を理由にした政治的迫害のおそれが明白であること。 ・国籍国の外にあって帰国できないあるいは帰国を希望しないこと。 以上を満たすことで難民と認められた人々(「条約難民」といいます)の保護 (一定の法的地位の保障、社会生活・福祉・行政上の援助) を義務づけるものです。 政治的理由で国の逃れてきた人々が保護されるべきことは、人道的・倫理的観点から当然ですが、 一般に、不法入国者・不法滞在者を強制退去させるか国内で保護するかは、それぞれの国の政治的・政策的判断の関与する余地があります。 日本も難民条約締結国である以上、「条約難民」を受け入れる義務を負っています。したがって、日本が基本的に難民や亡命者を受け入れていないというのは誤りです。しかし、日本の難民受け入れ数が国際的に見て極端に少ないことは事実です。出入国在留管理庁によると、令和元年における難民認定者数は、難民認定申請者数10,375人に対して44人で認定率は0.4%であり、認定率がドイツの約26%、アメリカの約30%と比べると非常に低い割合であることが分かります。 その主な理由は他国と比べると難民認定の基準が厳しいということです。しかし近年、欧米諸国でも世論の右傾化(保守化)を受けて、難民審査を強化し、移民(就労目的の移住者)の受け入れに消極的になる傾向が見られます。 このような場合、難民審査の強化については、「偽装移民」(難民であると偽って入国する者で仲介業者などが介在する場合もある)の問題が引き合いに出されます。 しかし、正当な理由のない「偽装難民」が含まれることは、難民たちの責任ではことも多く、実際に、難民は自らが難民であることを証明する書類などを持たず、本人の証言しか頼りにならないことも少なくありません。あまりに厳格な審査は、難民保護本来の目的に反することにもなりかねないといえます。 加えて日本では、難民審査の体制が法的・組織的にもともと不備であり、条約難民に認定されることが困難であるとも指摘されます。 主な論点は以下の通りです。 ・難民申請期間が60日に限られ、申請までの期間のみによって不認定とされうること ・難民申請者が法的に保護されず、不法入国者一般と同様の扱いになること ・難民申請に対する審査官の人員が少ないこと ・申請者に弁護士や通訳などの適切な支援が十分に保証されていないこと ・申請者の国籍国の事情などに関する十分な情報収集が可能な体制にないこと ・難民不認定の場合の具体的な理由の開示がなされないこと 日本は、このような不備を意図的に改善しないことで、難民の受け入れを極端に少ない数に抑えているとして、しばしば批判されています。またその背景に、難民問題に対する国民的意識の低さがあるということも指摘されています。 もちろん人道や倫理を強調するあまり、「難民」とはいえない入国希望者まで 難民として無制限に受け入れるべきだという議論は筋違いですが、日本の難民審査制度が適切に設計され機能しているのか見直す必要はあるものと考えられます。 |