学費や生活費がほかの地域に比べて格安であることから、語学留学先として注目され始めている。
基本的な教育制度
インドネシアの学校は、教育文化省が管轄する一般の学校と、宗教省が管轄するイスラム系の2つの系統がある。教育制度は日本と同様、小・中・高・大の6-3-3-4年制で、中学校までの9年間が義務教育。小・中学校の卒業時に全国統一内容の試験があり、基準に満たなければ卒業できない。インドネシアでは貧富の差が激しく国民の約半数が貧困層と推定されており、小学校への就学率は98.7%だが、1994年に義務化がスタートした中学校の就学率は約78%にとどまっている(2013年)。私立の学校はレベルの高い学校ほど学費が高額で、一部の富裕層向けとなっている。
学費・生活費が格安
学費や生活費がほかの地域に比べて格安であることから、留学先として注目され始めている。インドネシア大学やガジャマダ大学には半年~1年間のインドネシア語コースがある。語学学校では1週間の短期から1年のコースまで、英語やインドネシア語を学ぶプログラムが用意されている。
〈留学に関する情報収集先〉
・インドネシア共和国大使館
東京都品川区東五反田5-2-9
TEL:03-3441-4201
http://kbritokyo.jp/
・在大阪インドネシア共和国総領事館
大阪市中央区南船場4-4-21 りそな船場ビル6F
http://www.indonesia-osaka.org
【Column】増加傾向にある東南アジア留学
日本から海外へ留学する人の割合を見ると、英語圏の国への留学が圧倒的に多い。ここ数年の日本人留学生の渡航先の内訳を見てみると、およそ半数が英語圏、次いで中国が約35%、台湾が約5%、ドイツ約3.3%、フランス約2.8%、韓国は約1.8%、残りがそのほかの国への留学というのが実情である。そのため留学エージェントのような私企業は、利益追求のために絶対数の少ない非英語圏の国への留学は、事実上扱っていない。また、留学情報を扱った情報誌でも英語圏の国の情報が中心となっている(データは文部科学白書2012を参考におよその数値を算出)。
インターネットで情報を探す際にも、日本語で発信されている情報は英語圏の情報に比べるとはるかに少ない。このような状況では、非英語圏への留学を希望する人には、情報がないに等しいことになる。大学などの教育関連機関で働く留学カウンセラーは、留学エージェントで働く留学カウンセラーよりも非英語圏についての相談を受ける機会が多いだろう。
東南アジアへの留学者数は、英語圏への留学に比べればまだ少数ではあるが、著しい増加傾向にある。ここでは、東南アジアの国々の中で、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、シンガポールの6カ国を取り上げた。これらの国は、シンガポールを除き円借款受取国であり、近年、高等教育熱が高まっている国として、日本の産業界から注目されている。マレーシア、タイ、ベトナムの3カ国は、平成15年に、国際協力銀行の開発金融研究所が発表した調査研究書(リサーチペーパー)No.22『高等教育支援のあり方―大学間・産学連携』*(平成15年発表)において、調査の対象となった国でもある。また、フィリピンは近年、格安で英語留学ができる国として注目されている。
*『高等教育支援のあり方―大学間・産学連携』
この調査では、日本の新たな高等教育支援について検討する材料として高等教育、大学間連携、産学連携の現状が調査された。日本の東南アジア諸国に対する高等教育分野での支援策を考えるうえでの参考となる調査書である。