ニュージーランドの資格庁が定めた、留学生の生活保障に関する服務規程(Code of Practice for the Pastoral Care of International Students)により、留学期間や形態を問わず、すべての留学生が安心して学べる環境が整っている。
初等・中等教育はYear 1から13まで
ニュージーランドの教育制度はイギリスの制度を基にしており、どの教育機関においても、国の管轄の下、教育水準が一定に保たれている。義務教育期間は、その子どもの6歳の誕生日から16歳の誕生日までで、5歳から就学が可能。初等・中等教育は基本的に13年間で、Year 1から13までとなっている。Year 1から8までをprimary school と呼ばれる日本の小学校に相当する機関で学び、Year 9から13までをsecondary schoolと呼ばれる日本の中学・高校に相当する機関で学ぶ。地域によっては、Year 7、8が別にあり、intermediate schoolと呼ばれている。
学生を総合的に評価する新しい資格試験制度を導入
2002年から2004年にかけて、中等教育および大学入学の資格試験においてNCEA(National Certificate of Educational Achievement)という新資格制度が導入された。Year 11修了時にはNCEA Level 1、Year 12修了時にはNCEA Level 2が、そしてYear 13修了時にはNCEA Level 3がそれぞれ授与される。NCEA Level 1、2の取得者はそれぞれ工科大学・ポリテクニックや専門学校のcertificate、diplomaプログラムに進むことができる。総合大学に進学するにはNCEA Level 3の取得が必要である。それぞれの高等教育機関への進学に際しては、年度末試験の結果のほかに普段の授業での成績も問われるなど、学生を総合的に評価するシステムとなっている。
高等教育は、総合大学や工科大学・ポリテクニック、教員養成カレッジ、専門学校ワーナンガ(マオリ語に特化した教育)などで提供されている。総合大学はすべて国立で、各大学が専門とする分野を持っているのが特徴。私立専門学校はビジネスやホスピタリティーなど、専門分野に特化したプログラムを設けており、教員養成カレッジでは初等・中等教育に携わる教育の専門家を育成する。工科大学・ポリテクニックはすべて国立で、職業訓練と学術の両方のプログラムを提供しており、基礎レベルから大学院まで、総合大学と同様の資格が取得できる。
NCEA詳細については、以下のリンク参照(https://www.nzqa.govt.nz/ncea/understanding-ncea/how-ncea-works/ ※日本語のビデオあり)。
ニュージーランドの認可制度
ニュージーランドでは、New Zealand Qualifications Authority(NZQA)と呼ばれる政府の評価機関が、教育機関や資格の審査、認証を行うなど、教育の質の維持に努めている。学生ビザの取得には、NZQA認定校の入学許可証が必要だ。
2002年には、NZQAが定めた留学生の安全と健康を保障する新規定Code of Practice for the Pastoral Care of International Students が導入された。これは、留学生を受け入れる学校に、授業内容や授業料、ホームステイ先などに関して、正しい情報の提供と責任ある監督・管理を義務づけたものである。すべての教育課程において、この規定への署名校のみが留学生を受け入れることができる。2003年7月の改定後からは短期留学にも適用されるようになり、留学期間や形態を問わず、すべての留学生が安心して学べる環境が整ったといえる。
語学留学、親子留学、シニア留学
オーストラリアと同様、英語圏の中では比較的物価が安いうえに、比較的治安もよく暮らしやすいため、語学留学、親子留学、シニア留学の地として人気が高い(詳細は97ページ~参照)。ニュージーランドの学校は、私立・公立を問わず留学が可能。また、10歳以上であれば単身留学が可能である。
親子留学の際、保護者が子どもの留学に同行できる「ガーディアンビザ制度」を設けているのも特徴。
・ガーディアンビザ
初等・中等教育機関に入学する学生ビザ取得者の親(片方の親のみ)が申請でき、十分な滞在資金(1カ月につきNZ$1,000以上)があることなどの条件がある。期間は最長1年間で、学生ビザが更新されれば再度申請可能。日本に残るもう一方の親の委任状が必要。なお、10歳未満の学生は原則としてガーディアンと一緒に住まなければ学生ビザが下りない。
【Column】私立高等教育機関で大学レベルの学位・資格が取得可能
ニュージーランドには、数は少ないが、大学や大学院が授与する学位・資格を取得可能な私立高等教育機関(Private Training Establishment)がある。学べる分野は、ビジネス関連やツーリズムから、デザイン、英語教授法まで幅広い。修了後に授与される資格や学位は、NZQAに承認されており、国内外で広く通用する。また、予備コースを提供している学校もある。
私立高等教育機関は、留学生の受け入れに積極的なうえ、総合大学と比べて小規模で、学生へのケアも行き届いているため、留学生の人気も年々高まっている。入学に際しては、学校や専攻にもよるが、IELTS Band 6.0、またはTOEFL CBT 213程度の英語力が必要とされる。