● 地理
ニュージーランドは、南島と北島、そして小さな島々から構成されている。南北に細長い国土には、さまざまな気候や風土が広がっている。例えば北島には活火山があり、温泉や間欠泉も多い。南島のサザンアルプスには年間を通じて雪が残り、氷河や氷河湖が点在する。一方でフィヨルドやビーチ、緑の大地や原生林もある。ニュージーランドは年間を通して温暖で、日本よりも夏と冬の気温差が小さく、過ごしやすい。
ニュージーランドの面積は日本の70%ほどだが、人口は日本のおよそ30分の1。日本の人口密度が1㎢当たり約340人なのに対して、ニュージーランドではわずか約16人と少なく、「ニュージーランドでは人の数よりも羊の数のほうが多い」と言われるほどゆったりとしている。
ニュージーランドはマオリ語が公用語となっていることからもわかる通り、マオリ文化との共存が現在の多文化共生社会の基盤となっており、留学生がマオリ文化に触れる機会もたくさんある。
● 歴史
今から約1000年前にこの地に上陸したのが、ポリネシアから渡って来た先住民マオリだが、1642年にヨーロッパ人冒険家のエイベル・タスマンが訪れて以来、多くのヨーロッパ人が移り住んだ。1840年にこの両者間の土地問題をめぐり、イギリスのビクトリア女王と先住民マオリの各部族長との間でワイタンギ条約が締結され、イギリスの植民地となった。1852年に議会が発足し、憲法を公布。自由党政権の下で1893年には世界に先駆け女性に参政権を与えた。
1907年にイギリス連邦の自治領となり、第1次世界大戦ではアンザック軍として、第2次世界大戦では独自にイギリスの同盟軍として参戦した。その後、1947年にイギリスから独立した。
1800年代~1900年代後半には主にイギリスや中国から、ここ10年間では特にアジア各国から、多くの人々がニュージーランドに移り住んでいる。
ニュージーランドは、非核宣言の表明や先住民のマオリ語を公用語とし、ユニークな国として位置づけられている。
● 政治
ニュージーランドは、イギリス連邦加盟の立憲君主制を採り、イギリス君主を国家元首、その代理人である総督を象徴として位置づけている。
議会にはマオリ選出のマオリ議員の議席が設けられ、世界でも指折りの先住民政策先進国としても知られる。また、女性議員が多いという特徴がある。これは、世界で初めて女性の参政権を認めた国家としての伝統を受け継いでいることが、理由のひとつと考えられている。外交面では、非核宣言に基づき、1984年にはアメリカ核積載船の入港を拒否。1995年には南太平洋のフランス核実験に対する抗議、2003年にはイラク戦争への派兵を見合わせ、戦後の復興事業のみに協力している。
● 経済・産業
ニュージーランドは人口が約510万人と少なく国内の市場規模が小さいため、経済は海外との貿易に大きく依存している。1973年のイギリスのEC加盟前までは、同国への輸出が大部分を占めていたが、現在の主な輸出国は、隣国のオーストラリアをはじめ、中国、EU、アメリカ、日本となっている。主な輸出品は、粉乳、バター、チーズといった酪農製品が中心で肉類や林産品が後に続く。
また、サービス業も近年成長してきている。特に、観光は主要産業のひとつとなっており、イラク戦争ぼっ発の一因である2001年のアメリカ同時多発テロ事件で他国への海外旅行者数が減少する中、ニュージーランドは「平和な国」として人気を集め、年間約389万人が訪れている。また、近年では、『ロード・オブ・ザ・リング』や『ラスト サムライ』のロケ地になるなど、映画産業が脚光を浴びている。観光に次いで留学産業も成長中で、日本からは約1万人(2019年)の留学生が毎年ニュージーランドに就学目的で渡航している。
なお、輸入品は自動車などの工業製品が中心となっている。