● 地理
韓国は朝鮮半島の南部に位置し、日本同様に四季があるが、一般的に春と秋はかなり短い。夏は湿気が多く高温で、冬は乾燥して寒い。韓国語には、ソウルなどの都市部で使われている標準語のほかに、地方ごとの方言がある。書き文字には、基本的に10の母音と14の子音で構成されたハングルが使用されている。ソウルは政治の中心地であるだけでなく、経済、文化などあらゆるものが集中しているため、全人口の半分近くがソウル近郊に住んでいる。
● 歴史
神話上の建国は、紀元前2333年の古朝鮮までさかのぼる。中央集権的な国家が朝鮮半島に登場したのは4世紀で、高句麗、百済、新羅による三国時代が7世紀まで続いた。676年に新羅が三国を統一。その後、936年に高麗が、そして1392年に朝鮮が建国される。ハングルは、この朝鮮時代の第4代国王、世宗によって1446年につくられた。
1897年には、近代国家様式を備えた大韓帝国になるものの、1910年には日本に併合される。1945年、日本が太平洋戦争で敗戦したことにより解放。しかし、38度線を境に南北に分断され(北緯38度線以北をソビエト連邦軍が、同以南をアメリカ軍が管轄)、1948年には、南に大韓民国、北に朝鮮民主主義人民共和国が樹立されて現在に至る。
● 政治
韓国の政治体制は民主共和制。国会は一院制で、任期は4年である。国家元首である大統領は国民による直接選挙で選ばれる。任期は5年で、再任はできない。1961年に朴正煕が軍事クーデターを起こして以来、韓国では長らく軍事政権の下、人権抑圧の歴史が続いた。1987年、市民や学生らの民主化闘争によって民主化が進み、1993年には32年ぶりに文民政権が発足した。
2008年2月に就任した李明博大統領は、現代建設を韓国のトップ企業に押し上げ、「現代の韓国を創った50人」に選ばれるなど経済人として伝説的な人物である。2013年2月には朴槿惠が韓国史上初の女性大統領に就任、日本に対して竹島問題や慰安婦問題をめぐり対話を拒むなど強硬な姿勢を貫いている。国内では2014年のセウォル号沈没事故、2015年のMERS(中東呼吸器症候群)感染問題などでの対応を非難され支持率は低迷している。
● 経済・産業
韓国では1960年代、朴正煕政権の強力な経済開発政策により、本格的に工業化が始まった。その結果、1970年代には「漢江(ハンガン)の奇跡」といわれるほどの経済成長を遂げた。しかし、低賃金労働を維持させ、あらゆる資源を一部の財閥企業に注ぎ込んだ経済開発手法は、「開発独裁」との批判も浴びた。
1995年にはひとり当たりのGNPが1万アメリカ・ドルを超え、翌年には念願のOECD(経済開発協力機構)入りを果たした。しかし、1997年に金融・通貨危機が起こり、IMF(国際通貨基金)から緊急融資を受ける屈辱を味わった。構造調整の過程で、企業倒産やリストラが相次ぎ、失業率も急上昇した。
2008年、李明博政権は韓国の経済回復を目指し、平均7%の経済成長と一人当たり4万ドルの国民所得、そして韓国を世界の7大経済大国にする「韓国747」計画を掲げてスタートしたが、世界同時不況とそれにともなう景気悪化、株価下落や急激なウォン安に苦慮。続く朴槿惠政権も発足以来効果的な経済政策を打ち出せずにいる。
● 民族性
韓国人は、一般的に情が深いといわれる。他人の悩みを自分のことのように心配するし、困っている人には手助けをする。そのうえ、他人とコミュニケーションを取るのが好きなので、食事や飲み会に誘うことも多い。ある程度他人との距離を保ちたい人にとっては、うっとうしく感じることがあるかもしれない。
また、韓国では何をするにもコネが重要で、そのためにも人とのつき合いやつながりを大事にする。ひとたび信頼され親しくなると、困ったことがあれば、あらゆる人脈を動員して面倒を見てくれる。しかし、逆に無理な依頼をされることもしばしばある。
そのほか、日本と比べて、物事をストレートに表現するので、自己主張する場合はえん曲な表現をするより、明確に述べるほうがよく伝わる。